2010年に最も遊んだゲーム

2010年は5月に2週間ほど帰国し、さらに10月にはエッセン経由でそのまま日本に滞在しています。これだけ長期滞在するのは実に久し振りで、日本のゲームシーンのさまざまな側面を見ることができたと思います(それは現在2011年2月にも続いていますが)。

そんな2010年を振り返ると、まず5月の一時帰国のときには10年振りに2度目のゲームマーケットに参加。前回がゲームマーケットの第1回だったということを思うと感慨深いです。いつもインターネット上でお世話になっているマクベスさんらと打ち合わせて、前日から思う存分遊びました。直後にアメリカに戻り、8月は2度目のWBC(ワールドボードゲーミングチャンピオンシップ)に参加。今回はモーテルに1泊して様々なトーナメントを楽しみました。8月下旬には長年参加していたウォルドーフゲーム会の主催者ピートの引っ越しのために、ゲーム会が無くなるかと思われましたが、一応続いています。オープンゲーム会では初めて参加し始めたものなので、思い入れは深いです。10月初旬は地元のコングレスオブゲーマーズというコンベンションに参加。10月下旬には、最大のイベントともいえる2度目のエッセンに参加です。ラーのプロトタイプを得たり、クニツィアにインタビューしたりと、なかなかできない体験をしました。その後の日本帰国後には、Area51さんに誘われて岡山に温泉ゲーム合宿に行ったり、大阪で賽苑の皆さんに合流したりしたのを始め、首都圏でも様々なゲーム会に誘って頂きました。ゲームライフとしてはかなり波瀾万丈な年だったと思います。

2010年の主たる賞を振り返ってみると、SdJはディクシット、DSPはフレスコなのですが、どちらも自分にとっては今ひとつでした。コミュニケーションゲームならディクシットよりも面白いものはいくらでもあるし、フレスコはテーマも魅力的でゲームとしては良くまとまっているのですが、突出した新しいメカニクスがないように思えます。SdJのノミネート作やDSPの10位以内では、アイデンティクとエンデバー以外はすべて遊びましたが、どれもそれほどの魅力は感じませんでした。それよりもフェアプレイのアラカルトカードゲーム賞の方に最近は関心が向いています。2010年の1位はジャイプル。これはまだ持っていないのですが、いずれ買おうと思っている良いゲームです。2位のアールエコ、4位のヴァンパムは共に傑作だし、6位のあいだの数もなかなかよかったと思います。3位の11ニムトはあまり評判が良くないようで未プレイでしたが、ちょっと興味が出てきました。

そのほか、ドミニオンクローンと呼ばれるデッキ構築形ゲームが国内外を含めて全盛でしたが、ドミニオン自体に興味がないのでどれも未プレイです。まあ「もだん☆あーと」なら遊びますが。そんなわけで、相変わらず、旧作が多いのですが、2010年に最も遊んだゲームを振り返りたいと思います。

2010年は、325種類、延べ906ゲームを遊びました。前年の307種類、延べ879ゲームと比べて種類、ゲーム数ともに微増です。325種類のうち一度だけのプレイは161種、リプレイしたものは164種です。例年通り、リメイクをある程度の主観でまとめてプレイ頻度トップ10を出しました。



1.交易王 海の英雄 Handelsfürsten 27回 (前年3位:23回)

Handelsfursten20100806.jpg2007年出版の小粋なクニツィアのゲーム。6種30個の産物と60枚のカードとコイン、それに4種類の特殊カードだけというかなりミニマルなコンポーネントです。このゲームの長所は、まずプレイ時間が短くルールがわかりやすいこと、そして個人攻撃がなくプレイヤーインターアクションが高いこと、さらに特殊カードのおかげで長期的戦略があることです。他のプレイヤーに相乗りしたり、1人だけ抜け駆けする楽しさというのはクニツィアの他のゲームでも使われていますが、交易王はその部分をダイレクトに抽出しています。もとは1995年に出版された「フェーケライ」という豚のビューティーコンテストをモチーフにしたゲームだったのですがクニツィアのゲームにしては珍しく手札上限もあり、いまひとつ盛り上がりに欠けました。それをルールを少し変えて特殊カードを加えただけて、これだけの完成度のゲームを作るとはすごいことです。特殊カードの値段と効果のバランスについてはいろいろと意見があると思いますが、早い者勝ちなのでどうしても欲しければ最初にカードを消費するので少し不利になるようにできているのが良いです。また場合によっては特殊カードがなくてもなんとか勝てるというバランスになっています。最近は2人で遊ぶことも多いのですが、2人プレイも悪くないですね。



2.古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im Alten Rom 22回 (前年9位:14回)

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これを一つのエントリーとして挙げるのはどうかとも思いますが、今年はローマ七丘、メルカトル、ハンニバル対ローマ、スパルタカス、カエサル、カテリーナの陰謀、法廷、大競技場、帝国、を遊びました。今後もひとつひとつのゲームに焦点を当てたレビューを書いていきたいと思っています。古代ローマの新しいゲームからは、単体として出版されたゲームも沢山あり、ブントロンド、クブラスギャンボル、コルドバ、ソクラテス、フィッシュイートフィッシュ、ユンダオ、メディチ、ローマがそれらにあたります。これらの細かいルールの違いはここ(英語)。写真は、おそらく一番遊んだと思われるエリアマジョリティーの帝国。



3.ヤバラス Yavalath 19回 (前年2位:40回)

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2010年前半によく遊びました。ヘックス版で行う3連を作ってはいけない4目並べです。先手が正三角形を作るように配置すると後手は受けるだけになりやすいということがわかってから少し遊ぶ頻度も減りましたが、エッセンでは作者のキャメロンブラウンとも遊ぶ機会がありました。自分の打ったコマが自分の首を絞めることになるかもしれないので、ある程度の先手有利が解消されていると思います。不思議な4目並べです。写真は3人プレイをしたときのものです。



4.ケルトカード Keltis: Das Kartenspiel 18回 (前年5回)

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今年一番遊んだケルトシリーズはこれです。シリーズ中で最もコンパクトで持ち運びが容易ながらもケルトの良さを失っておらず、ペアの数字を捨てて願いの石を取ること、ワイルドカード、エンドカードなど、このゲームならではの新機軸もあります。2人プレイではランダムに30枚抜くことになっているのですが、ランダムでなく2枚ずつ入っているカード(3-7とエンドカード)を30枚抜くというバリアントで遊ぶことが多いです。この場合、終了条件はエンドカード5列でなく3列とします。ゲームのルールに手を加えるのは好きではないのですが、これはランダム性が薄まってかなり戦略的に遊べるので考案したバリアントの中では気に入っています。



5.フロカティサーカス Zirkus Flohcati(15回)/スターウォーズ Star Wars: Attack of the Clones Card Game(2回) 17回 (前年4回)

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同居人やカジュアルゲーマーと主に遊ぶことが多かったです。バースト系のセットコレクションですが、手札では各スートのハイカードしかカウントされませんが、最も早く10スート集めるとボーナスで10点がつきます。同数字3枚のトリオをさらせば10点だけど、残してボーナスを狙うかと、なかなかジレンマがあります。リオグランデ版ではこの10点ボーナスのルールがなくなっており、これは明らかな改悪。またカードデザインもちょっと変わっていて残念です。なお、3種類ある特殊カードは場合によっては抜いて遊ぶことも多いですね。
ラベンスバーガーから出たスターウォーズは特殊能力が派手で面白く、また3ラウンドを通しての長期的な戦略が必要となり、また違った面白さがあります。写真はスターウォーズ版。



6.マンマミーア Mamma Mia! 14回 (前年3回)

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ピザ焼きをテーマとした半記憶系のハンドマネージメントゲームです。捨て札の山を皆で一緒に作り、その山から出された順番にカードをめくってピザができたかどうかを判定するという奇抜なアイディアで、ローゼンベルグの才能が光るゲームです。ピザというテーマもあって、イタリア系の同居人との2人プレイや3人プレイを良く遊びました。ゲーム会などでは余り遊ばないのでレポートは少ないのですが、好きなゲームです。2人だと、かなり読み合いのゲームとなり、8枚を焼き切るかどうかというバランスであることもあって、手軽ながらもなかなか楽しめます。相手のミスを前提にレシピを置いたりというのが非常に楽しいですね。これを大手のピザチェーンとタイアップして売ったら良いのになあ、などと思うのですが、難しいのかなあ。



6.カタンの開拓者たち Die Siedler von Catan 14回 (前年1回)

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帰国したときの家族でのゲームはこれで決まり。なんだかんだ言って毎年ランク入りするというのはすごいことだと思います。最近は拡張などは取り入れず、シンプルに基本セットだけで遊んでいますが、拡大再生産あり、陣取りあり、交渉ありというのはやはりツボを押さえたデザインだと思います。2009年は1回だけでしたが、2010年は再びベスト10に返り咲きました。近頃は15周年記念版やキャリーケース版などもでき、またファンが増えるのかもしれませんね。



6.ポイズン Poison(13回)/ドーナッツカードゲーム Baker's Dozen(1回) 14回 (前年5回)

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最近特にプレイ回数が増えているこのゲーム。遊べば遊ぶほどこのゲームの真の面白さがわかってきます。手札5枚でプレイアンドドローというバリアントもありますが(リメイクの「ドーナッツカードゲーム」や「13」では標準ルール)、やはりすべて配り切りの方が戦略性が断然高まります。手札を見て、どのスートならば最多が取れそうか、どのスートなら避けられそうかなどを考えるのが楽しいのです。1、2、4、5、7と5種類に絞られた数値が秀逸で、5や7のハイカーども1や2のローカードも両方大切で、中間にあたる4のポイズンカードを使うタイミングも悩ましいです。やはり4人がベストですが5人も悪くないですね。個人的にはグリフォンの本棚シリーズの13番目に「13」を出して欲しいのですが、どうでしょうか。奇数番号はすべてクニツィアなのでちょうど良いと思うのですが。



6.ケルト Keltis/ロストシティボードゲーム Lost Cities: The Board Game(13回、含む拡張3回)/ロストシティ ボードゲーム Lost Cities: The Board Game(1回)14回 (前年5回(全て拡張使用)+2回の7回)

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本家ケルトもケルトカードほどの頻度ではありませんが、思いのほか多く遊びました。WBCではケルトのアメリカ版である、ロストシティボードゲームを遊んだのが記憶に残っています。一番大きな違いは昇順のみということですが、自分はどちらも面白いと思います。ただグラフィックでは断然ケルトの方が好みです。最近はエッセンで買ったケルトDSなども遊ぶ機会があり(プレイ回数にはカウントしてませんが)このソリテアバージョンにてこずっています。まだまだケルトは暫く楽しめそうです。2010年に出た続編のケルトスパイラルはまだ持っていないのですが、2回ほど遊ぶことができました。



10.コンテナ Container 13回 (前年5回)

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トップ10入りした中ではもっともヘビーなゲーム。とはいっても、コンテナ各色を通常の4分の3しか使わないというオフィシャルショートゲームなので、プレイ時間は90分前後です。5種類のコンテナを生産し売買し運搬し競り落とすのですが、連続したプロセスに1人で関わることができないようにデザインされているので、必然的にプレイヤー間のインターアクションが強くなっています。自由度の高いゲームで、コンテナの値段をつけるのでも相場を見て付けたり、ダンピングしたり、買わせない為にわざと高くしたりと様々なことができます。勝ち方も多様で、場合によっては、全くコンテナを買わずに現金だけで勝てるし、生産だけしてても勝てるのです。間違いなくデロンジュのナンバーワンの傑作でしょう。



11位から20位までは以下の通り。

11.ケルトタイル Keltis: Der Weg der Steine (BMM) 12回 (前年4位:21回)
コソボ人の同居人が遊んでくれる数少ないゲームのひとつ。運の要素は思いのほか多くはないです。DCゲーマーズのラリーと一緒に2人用のスコアリングスキームを考えたりしました。

11. ごいた Goita 12回 (前年15位:9回)
日本が誇るべき知られざる伝統ゲームです。個人的には同じパートナーシップカードゲームのティチュより何倍も面白いと思います。Area51さんの家族と一緒に遊べたのが印象深いです。

11. ブルームーン Blue Moon 12回 (前年3回)
自分にとってのブルームーン師匠であるチャーリーが引っ越してしまい遊ぶ機会がぐっと減りましたが、それでもたまに訪ねてくるチャーリーと何度か遊びました。これは一生遊べそうですね。こういうゲームこそ日本語版を出して欲しいです。

11. 10デイズ イン ザ USA 10 Days in the USA 12回 (前年1位:42回)
去年はナンバーワンだったのですが、今年は他の10デイズシリーズを遊んだこともあって回数が減りました。でもボードを使わずに遊べるのはこれだけです。

11. ロストシティ Lost Cities 12回 (前年4回)
もうカードはぼろぼろです。2010年には缶入りが発売されましたね。12回も遊んでいたというのはちょっと驚きです。

11. ゴールドラッシュ Goldrausch(9回)/ゴールドディガー Gold Digger(3回) 12回 (前年1回)
クニツィアの最初に出版された2作の1つ。カードをめくる流れの中で、どのタイミングでどこに賭けるのかと言うシンプルさが好きです。比較の為に手札が3枚あるゴールドディーガーを3回ほど遊びましたが、これは完全な改悪でしょう。手札がない方が戦略があるというのはパラドックスのようです。ギークではこの2つのゲームが一緒の扱いになっており不思議です。おそらく古いゲームなので誰も気にしないのでしょう。

17. 10デイズ イン アジア 10 Days in Asia 11回 (前年5位:14回)
この年に2番目に多くプレイした10デイズシリーズはアジア版でした。同居人はこのアジア版がかなり好きなようですが、自分としてはボードやルールが洗練されているヨーロッパ版やUSA版が好きです。どうも鉄道が人工的に配置されていて好きではないのですが、アジアは中国やロシアと言う極端に隣接国の多い国がある為に仕方ないのでしょう。

17. カルカソンヌ ディ ブルグ Carcassonne: Die Burg 11回 (前年4回)
持っていたカルカソンヌはディブルグを除いて全て売ってしまいました。カルカソンヌは本来2人用だと思うし、それならば自由度の高いディブルグがベストです。なぜもっと評価されないのかと思うくらい素晴らしいゲームだと思います。

19. ハーベスト Harvest 10回 (前年12位:10回)
単にレアなだけではない素晴らしい国産ゲームです。そろそろ再販されても良いと思います。自分で遊ぶときには手札4枚にしてプレイして補充(本来は手札3枚で補充してプレイ)とし、特殊カードを使ったときのもう1手番は無しとして遊んでいます。

19. チグリスユーフラテス Euphrat & Tigris 10回 (旧版5回、新版5回)(前年5位:14回)
ギークでは新しいゲームに押されてついに12位に下がってしまいました。ギークのオンライン対戦(ターンベース)でも常に4つほど遊んでおりこのゲームの奥の深さと作戦の広さには驚かされます。

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