横浜クニツィア会 2025.05.10

第45回横浜クニツィア会は、神奈川地区センターグループ室での11時間開催で、参加者は8名でした。

出版社でたどるクニツィアゲーム第13回はアメリカのメイフェアゲームズ(1996-2010)です。シカゴ北郊のイリノイ州スコーキー Skokie, Illinois を拠点とし、リオグランデゲームズが台頭する以前は、もっぱらこのメイフェアゲームズがドイツゲームの英語版を出版していました。2018年にアズモデに買収されて、現在はもう存在しないようです。

MayfairGames20250510-1.JPGモダンアート Modern Art (1996, 2004)
チグリス ユーフラテス Tigris & Euphrates (1999/2003, 2008)
クオ ヴァディス Quo Vadis? (1999)
(フィガロ Figaro (2006))
グレン画廊 Glenn's Gallery (2010)

これらの特徴は、すべてドイツ語版が先に出版された数年後のリメイクだということです。最初の3作はハンスイムグリュックの同タイトルのリメイクで、最後のグレン画廊はブラッツの「メンバーズオンリー Members Only」のリメイクです。リメイクとはいえ、独自の装丁やグラフィックになっていて、ルールが付け加えられたり変更されていることが多いのが特徴です。

MayfairModernArtDPS20250510.JPGメイフェア版の「モダンアート」はドイツ語のハンスイムグリュック版(1992)の4年後に出版されました。競りゲームの代表作のひとつです。メイフェア初版(1996)は白い箱でスタイリッシュなデザインでお金チップはステッカーを貼るタイプ、その8年後の第2版(2004)では半分の大きさになり携帯性が増しました。ダブルオークションのお金の折半というアメリカンルールが特徴ですが、一般的にはこれは改悪とされており使わないプレイヤーも多いと思います。カードのデザインはハンスイムグリュック版を踏襲していますが、スクリーンは北米と西欧だったり(メイフェア初版)、東京やビルバオが入っていたり(メイフェア第2版)とそれぞれ個性があります。メイフェア第2版は日本で「スタンプス」やニューゲームズオーダーの「モダンアート」が出る前にはかなり流通していたと思います。

なお、メイフェア初版のボックスの裏にはDSP (Deucher Spiel Preiz)の受賞を示すロゴがありますが、"German Game Prize For 1993" となっており、独自の見たことがないロゴが印刷されています。他のゲームでもこのロゴが使われているものはあるのでしょうか? 
https://www.gamers-jp.com/playgame/archives/000872.html#modernart

メイフェア版の「チグリスユーフラテス」はドイツ語のハンスイムグリュック版(1997)の2年後の1999年に初版、そのボードで川の分かりづらい印刷ミスを少し修正した2003年版、そして拡張ルールやマップを加えた新版が2008年に出版されました。特徴的なタイル配置の陣取りゲームです。タイトルはドイツ語の Euphrat & Tigris から英語の Tigris & Euphrates に変更されています。ボードの折り目など昔っぽさを感じるコンポーネントです。ハンスイムグリュック版よりも若干コンパクトなので、持ち運ぶ時にはよく使った記憶があります。メイフェア版では握手タイルが4枚ついていたり、プレイヤーを表すタイルがついているのが特徴です。
https://www.gamers-jp.com/playgame/archives/000874.html#euphrat&tigris

メイフェア版の「クオヴァディス」はドイツ語のハンスイムグリュック版(1992)の7年後の1999年に出版された交渉ゲームで、ボードや箱が小さめで特殊タイルがついているのが特徴です。以後は2005年にアミーゴ版がでて、そのあとだいぶたってから2023年に「ズーヴァディス」が出版されました。メイフェア版の特殊タイルは色々と曖昧な部分が多く、通常ルールで遊んだ方がこのゲームの持ち味が出ると思います。近年の「ズーヴァディス」も特殊能力がかなり加えられていますが、方向性が大きく異なります。
https://www.gamers-jp.com/playgame/archives/002173.html#quovadis

「グレン画廊」はブラッツの1996年出版の「メンバーズオンリー」のリメイクで、カード枚数を推理する賭けのゲームですが、美術館の通路を模した賭けボードの使いづらさが大幅にプレイアビリティーを下げています。ルールは変更がありません。なのでこの版はまだ1-2回しか遊んだことがありません。
https://www.gamers-jp.com/playgame/archives/001580.html#membersonly

絵柄や装丁が元の版とまったく同じなので取り上げていませんが、メイフェアからは他に「フィガロ」が2006年に出版されていたようです。

MayfairGames20250510-2.JPG今回は、これらのメイフェアのゲームからは「チグリスユーフラテス(2000初版)」と「クオヴァディス(2000)」を遊びました。 初プレイのゲームはありませんでしたが、全員で「空手トマト」を遊んだり、カードゲームとしてはボードゲーム並みに重い「アメンラーカードゲーム」を遊んだりしました。




ロングボード Longboard
(説明 15分 プレイ時間 30分)
Longboard20250510.JPG遊ぶのは2回目。どうも既視感があるなあと思っていたら、「カステイェールス Castellers」にかなり似ているルールです。手番が2アクション制であり、特に相手のプールからタイルを取るルールはまったく同じです。上がる条件などが「カステイェールス」では少々複雑でしたが、「ロングボード」では簡略化されています。以前「カステイェールス」のカードゲームが出れば良いのに、と書いていたことがありますが、それが実現されたのですね。

終了条件を満たしてゲームが終わってしまい、自分は低得点でした。かなり面白いと思うのでまた近いうちに遊びたいです。
参考:カステイェールスのレポート
https://www.gamers-jp.com/playgame/archives/001392.html#castellers

結果:ぴーかん 43、ウサギ 34、自分 27



ロンドン略奪事件 Looting London (グリフォン版)
(説明 5分 プレイ時間 20分)
LootingLondon20250510.JPGリクエストで持ち込んだ「ロンドン略奪事件」です。最多を確保するためにどのくらい破棄するかと、最後に未解決になる色は何色なのかを探っていくのが楽しい鋭いゲームです。カード補充は2枚にした方が良いのでは、という意見があったので、次回バリアントとして試してみようかな。

結果:スコット 19、自分 19、ウサギ 16、ぴーかん 14



アメン ラー カードゲーム Amun-Re: The Card Game
(説明 35分 プレイ時間 70分)
Amun-ReTCG20250510.JPGぴーかんさんのリクエストで持ち込んだゲームで、久し振りでルールをかなり忘れていました。押し出し競りなのですが、同じところに再ビッドできます。3回連続で競りをした後に、捧げ物で水位を決めてお金を得て、それによってピラミッドを購入していきます。

毎ラウンドの最初に自分の持ち金(最初は14)を任意のカード枚数に分割するというのがかなり特殊なゲームで独特なところです。今回は左隣りのヤスシさんがずっとスタートプレイヤーを維持し続けていて、かなり辛い展開でした。らくだは機能しないものの、それ以外は面白いゲームだと思います。カードゲームにしてはかなりヘビーなゲームで、「チグリスユーフラテス」のカードゲーム「王たちの戦い」に近いものがあります。しかし、「アメンラー」よりも明確な違いが多くあり、メカニクスとしては「島の完熟バナナ/完熟バナナ島」に近いものがあるかもしれません。

結果:ヤスシ 22、スコット 21、ウサギ 19、自分 18、ぴーかん 17



空手トマト Karate Tomate
(説明 10分 プレイ時間 15分)
KarateTomate20250510.JPGせっかく8人揃ったので1回くらい全員でゲームしようということになり、8人トマト。包丁を取るのをついつい後回しにしてしまったら、イズナさんが12点以上になりゲーム終了を宣言されてしまいました。包丁が1本しかないのがバレていたみたいです。やはりある程度は包丁を優先させなければダメですね。最近はこのパターンで負けてばかり。

結果:イズナ 13(2)、ウサギ 10(2)、みつる 8(2)、スコット 7(2)、ヤスシ 4(2)、ぴーかん 1(3)、mulberry 0(4)、自分 11(1脱落)
(括弧内は包丁の数)



クオ ヴァディス Quo Vadis? (メイフェア版)
(説明 15分 プレイ時間 80分)
QuoVadis20250510.JPGメイフェア第1弾。メイフェア版「クオヴァディス」は拡張のトークンがついています。ここのところ、リメイクの「ズーヴァディス」ばかり遊んでいたのですが、この機会に拡張トークンを使ったクオヴァディスを遊びました。おそらくこのトークンを入れて遊ぶのは2回目だと思います。手番には、自分のコマを配置する、進める、カエサルを動かす、に加えて、これらのトークンをランダムに1枚取るという選択肢があります。のちのボードにおいて邪魔をしたり、無条件で上に上がれたり、必要な票数を上げたり下げたりできます。

残念なのは細かいルールが明文化されていないところで、複数のプレイヤーが投票数を上げたり下げたりするトークンを持っていたらどうなるのか、使うか使わないかも含めて交渉するのか、といったことがよくわかりません。今回は交渉に含めることにしましたが、そうすると結局膠着して使わずに終わることになります。のちにやはり特殊能力を大幅に加えた「ズーヴァディス」がメイフェアの「クオヴァディス」の路線とは大きく異なった理由がわかる気がします。
参考:以前拡張トークンを使って遊んだレポート
https://www.gamers-jp.com/playgame/archives/002173.html#quovadis

結果:ウサギ 24、mulberry 19、イズナ 15、自分 14、みつる 24(脱落)



スペース ワーム Space Worm
(説明 10分 プレイ時間 35分)
SpaceWorm20250510.JPG最近プレイ意欲が湧いていた「スペースワーム」です。自分以外は初プレイなのでレベル1を遊びました。みんなのクセが結構出るゲームで、ジズザグに綺麗に埋めようとするプレイヤーや、外枠から埋めようとするプレイヤーなど色々いて面白いですね。プレイ経験の差もあって慣れている自分が勝利。クニツィアの紙ペンでは一番好きなゲームの一つかもしれません。いつかレベル1−4を通して遊んでみたいものです。

結果(レベル1):自分 13、みつる 10、ヤスシ 9、mulberry 2、ウサギ 0



ゼロ Zero (ピクシーゲームズ版)
(プレイ時間 5ディール25分)
Zero20250510.JPGmulberryさんのリクエストで「ゼロ」をプレイ。ピクシーゲームズ版です。5人なのでほとんどのカードを使うためか、毎ディール誰かがゼロを達成するという展開でした。第3、第5ディールと2回もゼロを決めたmulberryさんの勝利。さすがですね。

結果:mulberry 38、自分 44、ヤスシ 47、ウサギ 74、みつる 90



なかま集め Affenbande
(プレイ時間 5分)
Affenbande20250510.JPG運試しのゲーム。というか、運だけです。自分のボードに猿が6匹そろえば勝利です。ちょっと面白いと思うのは、自分の色の猿が出るまで引き続けるということ。これによって相手の方がどんどん揃っていくという心理になります。今日の運試しに勝ったのはスコットさん。

結果:スコット 6、イズナ 5、ぴーかん 4、自分 3



ブードゥー プリンス Voodoo Prince (数寄ゲームズ版)
(プレイ時間 2ディール30分)
5人なので「マシュマロテスト」ではなく「ブードゥープリンス」にしました。細かいところでルールに相違点があるので注意が必要です。今回は数寄ゲームズ版のルールに記載されているカード交換のバリアントルールを採用。しかし時間の関係で2ディールだけだったので、結局このカード交換は1回しか行いませんでした。自分は1ディール目で最下位の1点だったのですが、カード交換による恩恵を受けて2ディール目では10点。次回はフルで5ディール戦を遊びたいですね。(写真撮り忘れ)

結果(2ディールのみ):mulberry 18、スコット 16、自分 11、ぴーかん 4、イズナ 3



チグリス ユーフラテス Tigris & Euphrates (メイフェア初版)
(説明 20分 プレイ時間 70分)
Tigris&Euphrates20250510.JPGメイフェア第2弾は「チグリスユーフラテス」です。これはアメリカでの初版でボードは6つ折り、そしてボードのグラフィックが、川の合流点あたりに川のマスだと混乱する小川が描かれていて少し混乱するバージョンです。個人的には昔よく遊んだバージョンであり、プレイアビリティもさほど悪くなくコンパクトなので好感が持てるバージョンです。

ヤスシさん以外はプレイ経験があり、またヤスシさんも「皇(ハン)」は遊んだことがあるということでゲームはスムースに進みました。モニュメントが5つも建つという展開でしたが、所有者がコロコロと入れ替わり、かなり接戦の展開です。最終結果は、全員5点!タイブレークでヤスシさんの勝利。あとの3人はさらに次のタイブレークで順位が決まるという大接戦でした。

結果:ヤスシ 5-6-8-14、mulberry 5-5-8-12、自分 5-5-6-7、みつる 5-5-5-9



ロスト シティ Lost Cities (パートナーシップ)
(プレイ時間 1ディールのみ15分)
LostCities20250510.JPG最後に1ディールだけ「ロストシティ」のペア戦を遊びました。最初は「これってペア戦の意味があるの?」と言っていたmulberryさんですが、途中から「これは面白い!」と言ってくれて良かったです。このペア戦は2デッキ必要ですが、ぜひちゃんと製品化してほしい傑作だと思います。

結果:mulberry &自分 32、みつる&ヤスシ -35



Results20250510.JPG他に遊ばれていたゲーム:「ラーダイスゲーム」、「カラーヒューイ」、「タールトラッカー」、「ソクラテス」、「じょうずにお買い物」、「魔獣の王」、「メディチ対ストロッツィ」、「モンキーズミスチーフ」、「リバース」

今月も様々なクニツィアを遊べました。来月は6月14日の予定です。
https://twipla.jp/events/679595

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