渋の会 2013.09.27

Shibumi-packages.JPG渋(しぶみ) Shibumi はネスターゲームズから出版されているゲームシステムです。コンポーネントは白、黒、赤の3色のボールが16個ずつ、計48個と4x4のボールを置くための穴があいたボードです。30個のボールで正方形をベースとした綺麗なピラミッド(正八面体の上半分)を積み上げることができます(下から16、9、4、1)。

たったこれだけのコンポーネントですが、タイトルの通り渋いゲームがたくさんあります。ルールブックによれば、渋さというのは、見かけはシンプルだが奥に複雑さと奥深さを秘めているものだそうです。エレガントと渋さは似ているが少し異なり、なぜなら渋いゲームはほぼすべてエレガントなゲームだが、エレガントなゲームが渋いゲームとは限らないということだそうです。

Shibumi-character.JPG「渋」の特徴的なメカニクスとしては、「落下」「スライド」「スライドドロップ」などがあります。「落下」は上にボールが直接乗っているボールを移動することにより上のボールを落下させることで、一般的には2つ、3つと連鎖的に落下することが許されています。また2つ以上のボールが直接乗っているボールは移動できません。「スライド」は上から3段目(3x3)以上でボールを押して縦横にスライドさせることで、アバロンなどを彷彿とさせます。さらにスライドさせて押されたボールが下の段に落ちることを「スライドドロップ」と呼び、これは一意的に落下点がきまる時に限るのが一般的です。もちろんすべてのゲームにこれらのメカニクスが使われているわけではなく、ボールの移動そのものがまったく許されていないゲームも多いです。

Shibumi-components.JPG「渋」には現在3種類のエディションがあります。アクリルの箱に入った将軍エディションは箱の側面に「渋」の文字のくり抜きがあり、蓋がボードになっています。また、ルールが入ったペンドライブも付属しています。侍エディションはケースが袋になっており、ボードは淵の部分が狭く少しだけコンパクトになっています。

これら将軍エディションと侍エディションは、ともにフェノリックボールを使っているのが特徴です。フェノリックボールはスヌーカーのボールと同じ材質で、正確で丈夫で滑らかで暖かく軽い(ネスターゲームズのサイトより)ということで、手の中での触り心地がよく機能的です。落下のメカ二クスを使ったゲームでは綺麗に落下します。

忍者エディションはスポンジのボードとプラスチックのボールで、サイズもぐっと小さめになっています。コンパクトなので、持ち歩きには一番適しています。

Shibumi-pendrive.JPG「渋」シリーズでは、このほか異なるサイズのボードやボールを置くための器、4色目の黄色いボールなど色々なアクセサリーを売っています。さらにルールブックは87ページの本としても販売しており(写真参照)、これには35のベスト渋ゲームが入っています。系統だった書き方で非常に分かりやすいルールブックで、渋チャレンジというデザインコンテストの上位3位入賞作も含まれています。

ルールブックに収録されている35ゲームは以下の通りです。「渋」のゲームはすべて sp- で始まることになっており、これは square pyramid の略だそうです。なお「*」で記したものは、忍者エディションに付属するA5版のルールシートに収録されていたものです。このルールシートには7つのゲームが含まれていましたが、そのなかでルールブックに唯一収録されなかったゲームが、スフェックス Sphex という連結系ゲームです。これは、どうもゲームに欠陥があったことが見つかったかららしいです。



連珠系 N-in-a-row
スプライン Spline*
スプライン プラス Spline+
スプライス Splice*
スプリー Spree
スパバ Spava
スプレード Splade
スパロ Sparro
スプルーフ Sploof
スパニエル Spaniel

連結系 Connection
スパン Span
スポネクト Sponnect
スパイト Spight*
スパイス Spice
スパイジ Spaiji
スパゲッティ Spaghetti
スプルシュ Splush

パターン系 Pattern
スピラミッド Spyramid

ピラミッド完成系 Completion
スパイア Spire
スピマックス Spinimax
スプラストゥー Splastwo

除去系 Elimination
スパニック Spanic

捕獲系 Capture
スポイング Spoing*
スパーゴ Spargo*

得点計算系 Counting
スピンディジー Spindizzy
スプライト Sprite
スパオ Spao
スピードー Speedo
スピリット(オブ 渋) Spirit (of Shibumi)
スポッド Spodd
スプリンク Splink
スパジリック Spagyric

パズル系 Puzzles
スパズル Spuzzle*
スピン Spin
スパローン Spalone

複数セット使用 Multiset
スパイ Spy


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今回、ルールブックを購入したことをきっかけに、収録されているゲームを全部遊んでみようということになりました。もちろん1日では無理なので、何度かに分けて行います。そんなわけで、渋の会(しぶみのかい)第1回目は連珠系 N-in-a-row 9種のうち2人用7種を遊びました。あとの2種は3人専用なので3人の時にでもと思います。




スプライン Spline
(プレイ時間 各5分)
Spline20130927.JPG「スプライン」はネスターアンドレス自身のデザインで、「渋」で遊べるゲームの中では最も簡単とされている入門ゲームです。nxnの平面上で縦横斜めいずれかのn連を作るのが目的です。手番は交互で自分のボールをひとつ配置し、配置場所に制限はありません(つまりボード面か2x2の土台の上)。遅くとも2段目(2x2)で決着がつきます。

下から綺麗に積み上げると2段目に最初に着手できる後手が勝ちます。しかし綺麗に積み上げずに上を取るようにすれば少し話は変わってくるのです。例えば、4x4で1列に置かないと最初に2段目に着手できるのは先手になります。入門ゲームといってもシンプルさの中に手番順などの深みもありよくできたゲームです。

結果(*は先手)
1戦目:自分 勝利、キノ* 敗北
2戦目:キノ 勝利、自分* 敗北
3戦目:自分 勝利、キノ* 敗北
4戦目:キノ 勝利、自分* 敗北
5戦目:自分 勝利、キノ* 敗北
6戦目:自分* 勝利、キノ 敗北



スプライン プラス Spline+
(プレイ時間 各5-15分)
SplinePlus20130927.JPG「スプライン」に移動落下の要素を取り入れたゲームで、同様にネスター自身によるデザインです。手番で配置する代わりに、すでに配置したボールをひとつ移動させることができます。移動場所は自由ですが、移動によって落下したボールの上には置けません。ボールの移動ではボード上のボールが増えないので、序盤はそれほど使うことはありませんが、終盤にはこれで相手の勝利を回避したりと有効な作戦になります。ひとつ気になるのは、ゲームが終わらなくなるというケースがあるかもしれないということですが、今のところはそういうことはなかったです。

結果(*は先手)
1戦目:キノ* 勝利、自分 敗北
2戦目:キノ 勝利、自分* 敗北
3戦目:キノ* 勝利、自分 敗北



スプライス Splice
(プレイ時間 各5-10分)
Splice20130927.JPG赤色の中立のボールがある「スプライン」で、ネスターのデザインです。目的は自分の色のn連をnxn平面上に作ることですが、中立のボールを含んでも構いません。手番には自分の色か中立のボールを置きます。配置制限があり、自分の色のボールはボード上か2x2で中立のボールを含む土台の上にしか置ません。中立のボールはどこにでも置けます。

注意しなければならないのは、先手は中立のボールを1つはボード上に置かないと負けてしまうということです。なぜなら中立のボールがなければ3段目はすべて中立のボールになり、結果2段目に先に着手できる後手が勝つからです。

結果(*は先手)
1戦目:自分 勝利、キノ* 敗北
2戦目:キノ 勝利、自分* 敗北
3戦目:キノ* 勝利、自分 敗北
4戦目:キノ 勝利、自分* 敗北



スプリー Spree
(プレイ時間 各5-10分)
Spree20130927.JPGnxn平面上でn連を作りますが、プレイヤー色が無いゲームです。アヴゥリ・クレマーによってデザインされました。先手はまず、ボールを3色から選んで1つ後手に渡します。渡された後手はそのボールを好きな場所に置き、続けて今置いた色以外のボールを選んで先手に渡すというようにゲームは進みます。つまり、手番では渡されたボールをプレイし、その色以外を選んで相手に渡すのです。置いた結果、黒か白でn連を作れば勝利です。このとき中立の赤を含んでもかまいませんが赤だけでは駄目です。

ギガミックから出ている「クアトロ」を思い起こさせるシステムです。

結果(*は先手)
1戦目:キノ* 勝利、自分 敗北
2戦目:キノ 勝利、自分* 敗北



スパバ Spava
(プレイ時間 各5-10分)
Spava20130927.JPG「ヤバラス」のn-1連を作らずにn連を作るというシステムを利用したゲームで、「ヤバラス」のキャメロン・ブラウンのデザインです。「スパバ」ではnxn平面でこのルールを用いますが、自分の色の代わりに中立の赤色のボールを置いても構いません。

面白いのは他のゲームでは良いとされていた3段目の3x3の中央などが非常に悪い場所になっているところです。ただ、中立のボールが多くなりすぎてしまうというきらいがあります。余談ですが、名前はスパバラス Spavalath とでもした方が分かり易かったかもしれません。

結果(*は先手)
1戦目:自分 勝利、キノ* 敗北
2戦目:キノ 勝利、自分* 敗北
3戦目:自分 勝利、キノ* 敗北
4戦目:キノ 勝利、自分* 敗北



スパロ Sparro
(プレイ時間 各5-10分)
Sparro20130927.JPG直線状の3連をより多く作るゲームで、「ミュルスガリカス」のフィル・レドゥクのデザインです。直線であれば平面上でなくても構わないというのが面白いところです。中央に中立の赤いボールを5つ置いてから始めるので、すべてのボールは見えるボールになります。初手だけは後手は先手が角だったら辺に、辺だったら角に置かなければなりません(後手が真似することを防ぐため)。12手ずつプレイしたら終了で、頂上にはボールは置かれません。

ルールブックの例だと7つくらい3連ができているのですが、実際は2-3くらいしかできませんでした。同点の場合は最後に3連を作ったプレイヤーの勝ちとなります。

結果(*は先手)
1戦目:自分 2、キノ* 2
2戦目:自分* 3、キノ 2
3戦目:自分 3、キノ* 3
4戦目:キノ 3、自分* 2



スプルーフ Sploof
(プレイ時間 各5-15分)
Sploof20130927.JPG渋チャレンジというデザインコンテストで1位を獲得したマット・グリーンのデザインです。目的は上から見てお互いにボールが接した直線状の4連をつくることで、横から見てW字の形になっていても構いません。また通常の平面上の斜めの4連はボールが接していないのでダメなのです(写真では黒が4連を作って勝利しています)。

ゲーム開始前に12個の中立の赤いボールを4x4の外周に置きます。またプレイヤーのリザーブという概念があり、最初は自分の色のボールを2つずつリザーブに持っています。手番にはリザーブから自分のボールを1つ配置するか、中立のボールを1つ取り除くかのどちらかです。取り除くときには当然2つのボールが上に乗っていてはなりません。取り除くと自分の色のボールを2つリザーブに加えられます。手詰まりになってしまったら負けです。

さすが1位になったというだけあって、面白いプレイ感覚です。

結果(*は先手)
1戦目:キノ* 勝利、自分 敗北
2戦目:自分* 勝利、キノ 敗北
3戦目:キノ* 勝利、自分 敗北
4戦目:自分* 勝利、キノ 敗北
5戦目:自分 勝利、キノ* 敗北

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