DCゲーマーズ 2010.08.28

今週のDCゲーマーズはジェイソンの家です。ショーンのクルマに乗せてもらって30分ほどのドライブで到着。まずは2つのテーブルに分かれて、「グレンモア」と「倉庫の街」を遊びました。自分はレビューを読んでいて興味があった「倉庫の街」のテーブルに加わりました。



倉庫の街 Die Speicherstadt
(説明20分 プレイ時間75分)
Speicherstadt20100828.jpg近年の主力デザイナーの一人、フェルトがエガートシュピーレから出したゲームです。倉庫の街というのはドイツの第2の都市、ハンブルグの倉庫街をテーマにしたゲームですが、ZーMANから出た英語版のタイトルは The Speicherstadt でドイツ語をそのまま使っています。英語でも、このハンブルグの倉庫街はドイツ語名で呼ばれているらしいのですが、Hamburg - The City of Warehouses とかいう英題にはならなかったのでしょうか? タイトルを覚えることが出来ないと言うのはマーケティング的にはマイナスだと思います。

ゲームの中心となるメカニクスは変則的な競りシステムです。場にはプレイヤー数プラス1枚のカードが並んでおり、これを競っていくのですが、各自3つのコマを順番に欲しいカードに置いていきます。3巡してすべてのコマが場に置かれたら、並んだカードを左から順番に処理していくのです。最初にコマを置いたプレイヤーが競り落とす権利がありますが、その値段は何とそのカードに対しておかれたコマの総数です。競り落とさずにパスすると、次にコマを置いたプレイヤーに、というように順番に買う権利があるのですが、そのたびにコマが1つずつ取り除かれていくので値段が1ずつ下がっていくのです。つまり、最初に置けば確実に買う権利はあるけど値段は高くなり、あとから置けば値段は下がるけど買える保証はありません。同じカードに対して2つ連続で置く作戦も有効で、例えばABBというように置いてあれば、プレイヤーAが3で買わなければプレイヤーBは1で買えるのです。もちろん、買うのが目的でなく、値段をつり上げるのが目的で置くことも多いです。何とシンプルで素晴らしいシステムなのでしょうか。「この競りのシステムがいままで考えだされなかったのが不思議なくらいだ」とクリスチャンは言ってましたが全くその通りだと思いました。自分にとって、フェルトはどちらかといえばもっさりとしたシステムで今ひとつ、という印象があったのですが、これは非常に切れがあって面白いです。

船カードから5種類の交易品(木製のキューブ)を得て、契約カードを完了させるのが主な得点源となります。その他様々なボーナス得点カードや交易品をお金に換えられるカードなどもあります。フェルドらしいネガティブな要素としてはゲーム中に火事が4回あり、火事カードがめくられたときに消防士が一番多いプレイヤーと少ないプレイヤーに得点と失点(プラスマイナスで1-4点)を与えます。これが結構大きく、計画的に消防士カードを競り落とすことも大切です。カードはゲームの進行に合わせて出てくるようにデッキがABCDに分かれており、それぞれをシャッフルしてAから順に使っていくようになっています。このフェイズ別デッキ分割システムは近年のゲームデザインで多用されていますが、デザイン的に安直な気がするし、準備が面倒ということもあってあまり好きではありません。このゲームの場合でも少しデッキに手を加えれば、ABCDに分けなくても済んだのではないかと思います。そうすればゲーム展開にもっと多様性が出たように思うのです。

「倉庫の街」は前回のDCゲーマーズでラリーに「新作で45分くらいの良いゲームはないか?」と聞いたところ勧められたゲームです。今回もラリーが持参したもので、既にプレイ経験のあるクリスチャンがルール説明をしてくれました。火事での失点が多そうなので消防士はできるだけ競り落とすようにします。契約カードはあまり人気がなく、3枚ほど捨てられていたせいで、唯一契約カードを3枚買っていた自分は、後半には船を非常に安く競り落とすことができて2位に滑り込めました。いやー、面白い!最近の新作のなかでは一番のヒットです。

説明書にはABCDのすべてのカードの内訳表があり、ショーンと自分はこの表の取り合いになていました。クリスチャンは「そんなに気にしなくて良いよ」と言うのですが、自分にとってはこの内訳表はゲームを楽しむには必須だと思うのです。全体で消防士がいくつ出るのか、船は何隻なのか、などがわからないとプレイの指針が立てられないと思うのですがどうでしょうか。もし倉庫の街を購入するとしたら、真っ先にこの内訳表を5人分作ると思います。

結果:クリスチャン 27、自分 25、ショーン 20、マイクJ 17



ペンギンパーティ Pingu-Party
(プレイ時間25分)
もう一つのテーブルでのグレンモアが終わるのを待つまで、クリスチャンが未プレイだと言うのでペンギンパーティを遊びました。4人でしたが結局ちゃんと4ディール終わらせることができました。ショーンはこの手の軽いカードゲームが得意ですね。

結果:ショーン 2、マイクJ 5、クリスチャン 8、自分 8



ここでまたグループ分け。「果てしなき世界」と「エジツィア」です。自分は未プレイの「果てしなき世界」に加わりました。



大聖堂 果てしなき世界 Die Tore der Welt / World Without End
(説明 10分 プレイ時間 125分)
WorldWithoutEnd.jpg今日のメインゲームその2。「果てしなき世界」は「大聖堂」という小説の続編で、「大聖堂」はボードゲームとなって2007年のDSP1位を受賞ましたが、続編の「果てしなき世界」もボードゲーム化されました。「大聖堂」は未プレイで、自分の苦手なワーカープレイスメントらしいのですが、この「果てしなき世界」はまったく別のシステムです。

ゲームは大きく4チャピターで構成されており、各チャピターは6ラウンドあるので合計24ラウンド。各ラウンドの始めには、まず手番プレイヤーが正方形のイベントカードをめくります。イベントカードの4つの頂点には様々なリソースのアイコンが描かれており、手番プレイヤーはボード上の場所に任意の向きで置くことによってそれぞれのプレイヤーが得られるリソースが決まるというわけです。それに加えカードの一辺には赤い矢印がありますが、これが指す数値(0-3)だけ手番プレイヤーはロンデル上のコマを動かして恩恵を得ることが出来ます。例えば、下の写真では左、正面、右、手前のプレイヤーはそれぞれ信仰心、麦、勝利点1点、冠を得ます。さらに手番プレイヤーは赤い矢印が指す通りにロンデルで1つ先の恩恵を得るのです。このイベントカードの使われ方が、このゲームで最も斬新なシステムです。

WorldWithoutEnd-EventCard.jpgその後、手札のアクションカードをプレイしますが、1枚プレイし、1枚は裏にして捨てます。アクションカードは全員同じで、全部で12枚あるので、1チャピター6ラウンドでちょうど使い切り、すべて回収して新しいチャピターを始めるという流れです。基本的には行う可能性のあるアクションを残していくことになります。

各チャピターの終わりに信仰心2個、麦2つとお金(さいころで決まる2-5)が徴収されます。不足があるとペナルティがあり、次のラウンドの始めにまでペナルティは響きますので、終始この徴収のための捧げものを準備することに追われていくゲームです。とても建築をする時間などありません。「ドラゴンイヤー」を彷彿とさせる、プレイヤーに対してのペナルティが非常に厳しいゲームです。

リソースの種類が非常に多く(お金、レンガ、石、ウール、布、麦、信仰心、冠、医学知識)、それらを必死でマネージメントしようと計画を立てていれば、正方形のイベントカードでランダムにあっけなく手に入ったりとなんだか拍子抜けする部分があります。リソースが多すぎてゲームがぼやけてしまっている感はあります。

WorldWithoutEnd-BehindScreen.jpg正方形のカードを使ったリソース決定とロンデルでの歩数決定は斬新だとは思いますが、それがゲームの面白さにつながっているかと言うと疑問です。ロンデルでは良いマスと悪いマスがはっきりしているので、まずロンデルでいくつ進めば良いのかを考えます。4つの頂点にあるリソースは異なるとはいえどれも同じような価値なので、まあよっぽど特定のリソースが必要でない限りはどうでも良いと思ってしまうのです。考えどころがあるようでいてそれほどない、というのは言い過ぎでしょうか。

原作のあるゲームなのでストーリーに沿ったランダムイベントなどは悪くないのですが、12枚のアクションカードを1枚プレイ1枚ディスカードというシステムも、それほどジレンマはありません。結局は効率を求めるゲームなので、どのカードをプレイしてどのカードを捨てれば良いかと言うのは自ずと決まって来るのです。選択肢は多いように見えてそれほどないのです。プレイヤー間のインターアクションも少なめで、ソロプレイ感は否めません。これで2時間と言うのは結構きついです。

結果:ラリー 46.5、ショーン 43.5、ステュワート 39.5、自分 33.5



ここで近くのベトナム料理で夕食です。そのあとは「ブラス」と「倉庫の街」にわかれました。自分は再び「倉庫の街」です。同じ日に再戦できるとは、素晴らしい。



倉庫の街 Die Speicherstadt
(説明 5分 プレイ時間 55分)
倉庫の街の2戦目。今回は契約カードが捨てられることがなかった為に最後まで船へのビッドが高かったです。1戦目とは勝手がかなり変わり、非常に楽しむことが出来ました。ビッドが高騰する消防士を無視してみましたが、さすがにマイナス10点は厳しく、最後には最下位でした。消防士が少し強すぎるかもしれません。でもその辺りは競りで調節されるので、特に問題はないような気もします。これは購入リスト入りかな。

結果:クリスチャン 22、ラリー 21、ジェイソン 21、自分 16



ケルトタイル Keltis: Der Weg der Steine
(プレイ時間 15分)
「ブラス」が隣のテーブルで終わるまでに、ラリーとクリスチャンを誘ってケルトタイル。クリスチャンは初めてとのこと。これも英語版がないのがもったいないです。そのせいで普及してません(ギークでも所持者は400人未満)。もし英語版がリオグランデから出るとしたら「ロストシティ・タイルゲーム」というタイトルで、ルールも昇順だけになるのでしょう。悪くないかもしれませんね。

結果:クリスチャン 28、自分 25、ラリー 22



ダラララ!! Dararara!!
(プレイ時間 15分)
Dararara.jpgゲームマーケットで購入した、カワサキファクトリーの500円ゲームです。漸く遊ぶ機会が持てました。たった3種類(赤、青、黄)のカードで構成されており「3種類だけでゲームを作るということ自体は尊敬に値するね」とラリーは盛んに言います。手札から1枚ずつ自分の前にさらしては補充し、最後に残った3枚で自分のセクト(赤、青、黄、ダラーズ)が決まり、自分が最多のセクトに属していなければ得点になりません。セクトは3枚のうち最も枚数が多い色ですが、3色を1枚ずつ持っているときだけはダラーズになります。得点は自分の前にさらしたセクトの色以外のカード枚数。ただしダラーズの場合は固定点になります。このダラーズの固定点が結構高いのでバランスが悪いのでは?という意見も多かったのですが、実際に遊ぶとそれほどダラーズが強いようには思えませんでした。面白いアイディアだと思うのですが、まわりでの反応は今ひとつでした。DCゲーマーズのバージニア部では、軽いゲームは受けが悪いので仕方ないのですが、自分は結構面白いと思いました。このアイディアを発展させたら、もっとすごいカードゲームができる気もします。また違うグループで試してみたいです。

結果:クリスチャン 24、ジェイソン 10、ラリー 7、自分 6

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