草場宅新年ゲームパーティー2011 その2 2011.01.04

草場さん主催の新年ゲームパーティーのレポートの続編です。3日目最終日、1月4日は昼頃に草場邸に到着しました。この日のメインは何といっても手本引きです。他は相変わらずナグナツさんと普段できないアブストラクトゲームをたくさん遊んで充実したゲームパーティーでした。



ヘッドバンズ Hedbanz
(説明 5分 プレイ時間 45分)
Hedbanz.jpgこの日の最初のゲームはシンプルなパーティーゲームです。頭にプラスチック製のヘッドバンドを巻き、答えとなるカードを差し込みます。つまり自分だけはカードの内容を知らずに他のプレイヤーは全員わかっているという訳です。コヨーテやインディアンポーカーと同じシステムですね。手番になったら制限時間以内に自分のカードの内容を知る為の質問をし、他のプレイヤーはそれに答えていきます。自分のカードが当たれば次のカードを差し込んで続け、制限時間がくればまた次の手番で質問の続きを開始します。たったこれだけなのですが、非常に盛り上がりました。「生き物?」「何色?」「この部屋にある?」「千円以下で買える?」などと言った質問をするのですが、これがなかなかヒントになりません。自分のカードは「自転車」だったのですが、3巡目で漸くわかりました。他には「牛乳」「馬」「チョコレート」「ドーナツ」「UFO」などがあり、中でもストーンRさんに与えられた「口ひげ」などは当てるのは至難の業で、実際当てた人はかつていないと草場さんが言っていました。自分の向かい側のプレイヤーが「電球」だったのですが、かなり手こずっていたので、「この手のひらに乗る大きさ?」と聞かれたとき、思わず手持ちの小型の鉄製ボトルをその手のひらに乗せてしまいました(キャップの部分があまりにも電球に似ていたので)。

残念な事に何度か遊んでしまうとカードの内容がわかってしまうので面白さは半減してしまいます。まあ1年に1回くらい遊ぶというのが良いのかもしれません。



手本引き Tehonbiki
(説明 15分 プレイ時間 1時間45分)
Tehonbiki20110104-1.jpg手本引きは日本の伝統的な博打の最高峰とも言われているゲームです。手本引きのルールはインターネットにも載っているのですが、それを読んでもどこが面白いのかさっぱりわかりません。草場さんやストーンRさんに聞いても「面白いのだが、面白さを説明するのが非常に難しい」と言っていたので、これは一度遊んでみるしかない、と思っていました。そんなとき、手本引きをギャンブルでなくゲームとして遊べるように、ストーンRさんが少々アレンジしたものがあると聞いたので、前日にストーンRさんに頼んでおくと快く持ってきてくれました。ここではこのアレンジされたルールに則って説明します。

手本引きは1-6までの数当てのギャンブルです。各ラウンドでは親が1-6のうち、どれか数字を1つ選び、他のプレイヤーは、親の選んだ数がどれかを賭けるのです。賭け方には「スイチ」と呼ばれる1点賭けから、2点、3点、4点賭けまで様々です。これを10ラウンド繰り返したら次のプレイヤーが親を努め、全員が親を努めたら終了。最も多くの金額を得たプレイヤーの勝利です。

この一見単純そうな賭け事のどこが面白いのでしょうか? それは「親が自分の意志であたりの数字を決める」という点に尽きると思います。一見同じように見えるルーレットやブラックジャックでも親は当たりの数字を決めたりカードを決めたりはできません。よって完璧なまでに確率論が働くし、公正にランダムです。ところが手本引きではそうはいきません。人間の意思で完全にランダムにする事など無理なのです。この親と同じ思考になる事が手本引きで勝つ秘訣です(ストーンR談)。

この「親の意思で次の数字を決める」というシステムを際立たせる為の小道具が手本引きの中にはそこここに見られます。まずは履歴を表示する1-6までのタイル(草場さんのコメントによれば「目札」「目木」「前綱」などと呼ばれているそうです。)です。第1ラウンドの始めには左から(親から見て右から)1、2、3、4、5、6と並んでいますが、当たりの数字は一番左に置いていきます。よって親が第1ラウンドで3を選べば3、1、2、4、5、6となり、第2ラウンドで6を選べば6、3、1、2、4、5。さらに第3ラウンドで1を選べば1、6、3、2、4、5というように変わっていくのです。正確な履歴ではないのですが、一番左のタイルは直前のラウンドで選ばれた数字であり、一番右のタイルは過去5ラウンドはその数字は選ばれてないということになります。これが努めてランダムにしよう、あるいは裏をかいて同じ数字を選ぼう、あるいはその裏をかいて目立たないようにしよう、などと考える親には非常なプレッシャーとなるのです。次に数字の選び方です。ラウンドの始めに親は1-6の小さな木の板を1が上、6が下になるように重ねて持っており、親は背中でこれを見ずに当たりとする数字の木の板を選んで布の間に入れなければなりません。そして子が賭け終わって親が数字を宣言するときにも、これを見ずにまず前述したタイルを左に動かす事によって示し、次に布をみんなの前であけて照合します。このシステムによって、子が賭けてからランダムに選ぶ事はできず、賭ける前に数字を決めなければならないという、意思のシステムが確立されています。またもしも動かして宣言したタイルと選んだ木の板の数字が異なっていたら、両方とも当たりとなるという厳しいルールです。

賭け方も多彩で、子は賭けたい数字のカードを伏せて置き、脇に掛け金を置きます。1点賭けから4点賭けまであり、2点以上ではカードや掛け金の置き方で意味が変わる事があります。1点賭けは4.5倍返しなので、元本を考慮に入れると期待値5.5/6ですが、2点賭けは5.6/6、そして3点と4点賭けは5.7/6と心持ち有利になっています。

Tehonbiki20110104-2.jpgゲーム開始です。まずは、慣れているストーンRさんが親となり場を盛り上げます。なかなか数字を当てる事ができず、マイナス88とかなりすってしまいました。続けて●山さんの親で、ここでもマイナス53。3度目で自分が親になり「やっぱりク『ニ』ツィアの2だよね」などと軽口を叩きながら、うまく他のプレイヤーの思惑をかわしていたのですが、9ラウンド目で大戻り(今まで一度も選ばれずに右端にあるタイル)の4を選ぼうと思っていたのですが、裏の裏の裏をかこうとおもって何故か2を選んでしまいました。ここでストーンRさん、●山さんはスイチ(1点賭け、倍率4.5倍)を賭けてきました。やういちさんも2点賭けです。3人とも2に張っており、さらに2点賭けしたやういちさんが賭けていたもうひとつの数字は4でした。何とも恐ろしい事です。一瞬にして吹き飛ぶ数百万・・・いやこれは玩具のお金でした。よかった。親なのにマイナス125という大ダメージでした。最後はやういちさんが親で●山さんに当てられまくって沈んでしまいました。

これはゲームなのかギャンブルなのかわかりませんが、とにかく素晴らしいです。これでゲームになるというのがすごく不思議です。カワサキファクトリーの賭博英雄伝セブンのマインドルーレットはこのアイディアを利用していると聞きました。この「親が次の当たりを選ぶ」というのは非常に面白いですね。ストーンRさんが言うように西洋のルーレットやブラックジャックとはまったく異なり、親と同じ気持ちになるのが大切と言う、日本らしい以心伝心のゲームです。ストーンRさんはこの大勝利のあと集中力を使い過ぎて疲労困憊して暫くゲームをしていませんでした。

結果
ストーンR 382、●山 200、自分 -286、やういち -296



チョコレート Scho K.O.
(プレイ時間 25分)
Schoko20110104.jpg木さんを誘ってチョコレートを遊びました。2人用の短時間タイル置きとしては完成度の高いゲームだと思います。初めてタイルの構成を調べてみました。大切な赤丸付きのタイルは10枚あるようです。木さんにうまく攻められて10点差の大敗。

結果:木 30、自分 20



棋碁 Kigo
(プレイ時間 各30-50分)
Kigo20110104-1.jpg「棋碁」は将棋と五目並べを合わせたようなゲームで、エポック社のブックゲームシリーズのひとつです。以前プレイスペース広島から買い求め、ルールは読んだことがあるのですが、どうもいい加減に考えられたキワモノ的なゲームだと思っていました。ところがこれが非常に面白い。ゲームとは遊んでみるまではわからないものです。

9x9の碁盤で2人とも20ずつの将棋の駒と同じ内容のコマを持ちます。コマを打つのは格子の交点であり、コマも円盤状になっています。ゲーム開始時にはボードにはなにも置かれていない状態から始め、手番には手駒を打つか盤上の駒を動かすかのどちらかです。こうして相手の王を取るか、または縦横斜めのいずれかで5連をつくり、それを次の相手の番で崩されなければ勝利です。なお自分の王が場に出ていないと相手の王は取れません(王手は無効となります)。また5連には自分の王が含まれていなければなりません。その他の細かいルールは以下の通りです。

敵陣は最後の3列でなく2列。敵陣には打てない。
相手の駒を取ったらその駒はゲームから除外される。つまり持ち駒という概念はない。
二歩は禁止。打ち歩詰めは禁止。
行きどころのない駒があっても良い。

草場さんの勧めで、ナグナツさんと遊んでみました。1戦目はナグナツさんが、2戦目は自分が先手でしたが、0勝2敗でした。王が出ていないと相手に王手がかけられないなどのルールが効いており、いろいろと変わった手が打てるとても面白いゲームです。駒は成る事ができますが、あえて成る為に1手番使うなら、手駒から打って5連を目指すといった不思議なバランス感覚です。

結果
1戦目:ナグナツ
2戦目:ナグナツ



ピフロッグ Pifrog
(プレイ時間 10分)
Pifrog20110104.jpg駒の取り方が変わっていて、ひとりがチェス、もうひとりがチェッカーのように動きます。うっかりと説明書を忘れてきたのでどちらが先手なのかなど細かいルールが間違っているかもしれません。ということで1ゲームだけのお試しプレイです。

結果:ナグナツ



オクトロ Oktro
(説明 5分 プレイ時間 各20-45分)
Oktro20110104.jpgナグナツさん持参の古いアブストラクトゲームで、このボードは自作したそうです。各自3つずつ4色の計12の駒をスタート地点に置き、相手を手詰まりにさせた方が勝ちです。ボードには斜めにグリッドが描かれており、直線上なら何マスでも進めます。ただし戻るように動かす事はできません。また相手の駒と同じマスに到着したら相手のその駒を取り除き、それ以上は進めません。ボード上には各色4つずつ、色の付いたマスがあります。ここに止まると、相手はそのマスの色の駒を動かさなければなりません。これをうまくつかって相手を陥れていくのです。こうして、例えば相手の緑の駒が無い、または緑が全く動けない状態で、自分が緑のマスを踏めば、手詰まりに追い込んだ事になり勝利となるのです。

最初は非常に古くさいゲームかと思いましたが、遊んでみると思いのほか色々な作戦が取れそうなゲームだと思いました。色付きのマスは強力なのですが、とどまっていると取られたときにその色の駒を動かさなければならず一気に劣勢になってしまいます。なんとも言えない不思議な感覚のゲームです。1戦目はナグナツさん、2戦目は自分が先手を指しましたが、0勝2敗。

結果
1戦目:ナグナツ
2戦目:ナグナツ



リンジャ Linja
(プレイ時間 各15分)
Linja20110104.jpgエッセンでシュテファンシュピールから購入したゲーム。ダイスを使わないバックギャモンのようなゲームで、手番は2つの部分から成り立っています。まず自分の駒をどれでも1つ前進させます。次に、その前進させた先に既にあったコマの数(敵味方両方を含むが、今前進させたものは含まない)と同じマスだけ、自分のコマを1つ前進させるのです。この結果、動かしたコマが何もコマのないマスにたどり着いたら、もう1手番できます。自分と相手のコマが相互に関わっており、なかなか面白いです。ノーコンタクトの状態になったときにコマの到達度で得点が決まります。

結果
1戦目:自分 47、ナグナツ 33
2戦目:ナグナツ 56、自分 54



棋碁 Kigo
Kigo20110104-2.jpgここでストーンRさんと棋碁を1戦。彼と1対1のアブストラクトゲームを遊ぶのは初めてです。先ほどの経験を生かして、自分は2列同時に5連の準備をしていたのですが、飛角がなく、最後はあっけなくストーンRさんの勝利となりました(写真)。悔しい。

結果:ストーンR



アッパーハンド Upper Hand
Upperhand20110104.jpgゲームマーケットでナグナツさんに教えてもらった傑作アブストラクトゲームのアッパーハンド。今回はナグナツさんが以前プレイシングス Playthings という東京の六本木にあった店で買ったという貴重なセットを持ってきてくれました。写真だと分かりずらいのですが、透明なガラス玉はとても綺麗です。

まずは遊んでみたいと言うストーンRさんと1戦。その後ナグナツさんと3戦遊びました。最初は勘が取り戻せずに苦戦しましたが、連鎖がわかってきてからは連勝。これはやはり面白いですが、ナグナツさんの言う通り5x5では少々戦略が単調に感じます。7x7など大きなボードで遊んでみたいです。

結果
1戦目:ストーンR
2戦目:ナグナツ
3戦目:自分
4戦目:自分



カテドラル Cathedral
(プレイ時間 各7-8分)
Cathedral20110104.jpg非常に久し振りのカテドラル。大学の学部時代に購入し、よく当時のルームメイトと遊んだ懐かしい記憶が戻ってきました。今思えばそれほど戦略が広いゲームではないのですが、悪くはないと思います。ルールを少しうろ覚えで、もしかしたら間違っていたかもしれません。今回は、ナグナツさんの自作のコンポーネントです。1戦目はナグナツさん、2戦目は自分が先攻でしたが0勝2敗でした。

結果
1戦目:ナグナツ(勝利:点数不明)
2戦目:ナグナツ 5、自分 1



ラインズ オブ アクション Lines of Action
(プレイ時間 各15-25分)
LOA20110104.jpgチェス版と碁石を借りてナグナツさんとラインズオブアクションを遊びました。慣れるまではコマの動きを不自由と感じるかもしれませんが、慣れるととても面白いゲームです。初めてだと言うナグナツさんに惨敗。

結果
1戦目:ナグナツ
2戦目:ナグナツ



ピッグテイル Pig Tail
簡単にできるトランプゲームの傑作、ピッグテイルです。場のカードが無くなるタイミングで手札をいかにして減らしていけば良いのかというだけなのですが、これがなかなか戦略的にできています。

結果:たけ 4、草場 4、自分 6、ストーンR 24



ベリシネベリシ Verish' Ne Verish'
(プレイ時間 各20分)
VerishNeVerish20110104.jpg子供の頃に誰もが遊ぶトランプゲームの一つにダウトがありますが、このベリシネベリシはロシア発祥のダウトのバリアントです。ダウトは一般的にはA、2、3・・・と順に出していき手札をなくすのが目的ですが、カードが減らない為に長いだけの運のゲームという印象を持っていました。むろん子供の頃に遊んだ記憶だけが残っています。ところが、このベリシネベリシは「ダウトのバリアント」で済ませてはいけないと思えるほど、全く異なったキレのある素晴らしいゲームなのです。

目的はカードをなくすこと。カードを全て配り、プレイヤーは1-3枚のカードを裏向きに伏せて「これは◯◯です」と言って次のプレイヤーに差し出します。差し出されたプレイヤーには2つの選択肢があります。ひとつは自分も同様にして1-3枚のカードを次のプレイヤーに裏向きに差し出すこと。このとき前のプレイヤーと同じ数値をいわなければなりません。もうひとつはダウトを宣言することです。ただし直前のプレイヤーの出したカードしか公開することができません。公開してひとつでもいわれた数値でないカードが混じっていたら、差し出したプレイヤーが、そうでなくすべて正しければダウトを掛けたプレイヤーが、ここまでに出ている全てのカードを引き取るのです。どちらにせよ、ダウトを掛けた次のプレイヤーが再び「これは◯◯です」と任意の数値を言って次のラウンドが始まります。

こうして手札に4枚組が揃ったらそれは全員に見せて場に置きます。以後この数値をいうことはできなくなり、ゲームは収束に向かうのです。ただしゲームの最初に1枚だけジジ抜きのように抜いておくので、どうしても4枚揃わない数値が1つはあることになるというのも面白いです。

いずれにせよ、何とも不思議な感覚のするゲームです。「キングが2枚」「キングが1枚」「キングが3枚」「じゃ、キングが2枚」とくれば、誰かは嘘を言っているのですが、ダウトをかけても見ることができるのは最後の2枚だけ。でもこの最後の2枚だけが合っていてあとの6枚は全てキングでないなどということはよくあります。

このゲームの良いところはダウトを宣言したプレイヤーは手番を失うというところです。よってときには間違っているとわかっていてもダウトを言わない方が良いこともあるのです。逆に合っているとわかっていてもダウトを言った方が良い事もあるような気がします。なんといっても一筋縄ではいかない不思議な感覚を持ったゲームです。

教えてくれた草場さんによれば、簡単に実行できる戦略があるとのことですが、自分にはわかりませんでした。あまりにも面白かったので2回続けてプレイしてしまいました。

結果
1戦目:たけ(1位)、ストーンR(2位)、草場(3位)、自分(4位)
2戦目:ストーンR(1位)、自分(2位)、草場(3位?)、たけ(4位?)



ぴっぐテン Pig 10
(プレイ時間 2ディール20分)
Pig10Cards.jpgさて新年ゲームパーティーの最後の締めは2人で遊ぶ、ぴっぐテンデュエルです。今回初めて正式なルールで遊んだのですが、こちらの方がやはりわかりやすいかもしれません(以前はバーストしたときは出したカードは場に残ると言うようにしていた)。小気味よく何連続もぴっぐ10が決まるとそれだけで楽しいです。理想としてはカードが貯まって0の後に10を出したいのですが、0が7枚10が4枚という枚数が絶妙で、よく考えられているなあと思いました。2人でも悪くはないですが、やはり大勢で遊ぶ方が楽しいゲームだと思います。1ディール目は44対36で勝っていたのですが、2ディール目では25対55と大負け。草場さんの勝利です。

結果(2ディールの合計):草場 91、自分 69



これで新年ゲームパーティーは終了です。主催者の草場さん、一緒に遊んでくれた皆さん、ありがとうございました。

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