袋小路 2015.07.26

DiceGamesProperlyExplainedJapanese.JPG7月23日にスモール出版からクニツィア著の「ダイスゲーム百科」が発売されました。翻訳書籍ですが自分にとっては初めての書籍出版であり、感慨深いものがあります。この「ダイスゲーム百科」は、世界のさまざまなダイスゲームを系統立てて解説してあり、そこにはクニツィアのオリジナルゲームがいくつか含まれています。以下が、クニツィアオリジナルゲームのリストです。括弧内は、バリアントです。

第1章:運と得点のゲーム
ファミリー・バーブディ Family Barbudi
マッチ棒 Matches

第2章:運とカウンターのゲーム
しっぺ返し Tit for Tat

第5章:前進のゲーム
イコール・オア・クイット Equal or Quit

第6章:危険なゲーム
オクト Octo
(ポーカー・ハント Poker Hunt)

第7章:カテゴリーゲーム
600 Six Hundred
(36 Thirty-Six)
ミスター・ポストマン Mr. Postman
クリス・クロス Criss-Cross
(クリス・アンド・クロス Criss and Cross)
(クリス対クロス Criss versus Cross)
カテゴ Catego
(パートナーシップ・カテゴ Partnership Catego)
パワープレイ Powerplay
イースト・ウエスト East-West

第8章:ブラフゲーム
ダブル・オア・クイット Double or Quits
ネズミと男たち Mice and Men
(ドブネズミ! Rats!)
ダイス・ポーカー Dice Poker
(ドロー・ダイス・ポーカー Draw Dice Poker)
(スタッド・ダイス・ポーカー Stud Dice Poker)
(共通のダイス・ポーカー Shared Dice Poker)
(シックス・ダイス・ポーカー Six Dice Poker)

この日はなるおさんの呼びかけで、茗荷谷での袋小路のクニツィアゲーム会という特別企画で、オリジナルゲームをすべて遊ぶという試みを行いました。とは言っても、バリアントなどを中心に、いくつか見落としたり飛ばしてしまったものもあります。特に「600」のバリアントの「36」や、「カテゴ」のバリアントの「パートナーシップカテゴ」は良さそうなので、次回は是非これらを含めたいですね。



マッチ棒 Matches
(プレイ時間 各5分)
Matches20150726.JPG運だけのゲームですが、ダイスの出目がマッチすることとマッチ棒を掛けているのがオシャレです。せっかくなので、自宅からマッチ棒を持っていきましたが、数が足らずにグループの1つはチップで代用しました。大きく逆転する要素もあり、軽く楽しめます。

結果
1戦目:なるお 11、bluerose 6、自分 4
2戦目:自分 16、なるお 8、bluerose 6



しっぺ返し Tit for Tat
(プレイ時間 5分)
TitForTat20150726.JPGこれも運だけのゲームですが、カウンターが思ったよりも動き回るので楽しめます。運だけのゲームでも様々な工夫があり、それらは戦略のあるゲームをデザインするときの様々な材料になりうると思います。

結果:bluerose 18、夜の花畑 17、ナカタ 15、自分 9、なるお 8、ひぐたか 3、木 0



イコール オア クイット Equal or Quit
(説明 5分 プレイ時間 35分)
EqualOrQuit20150726.JPG前進のゲームの章に入っているゲームで、つまり振り直しがあるゲームです。「ポーカーダイス(これはダイスポーカーとは異なります)」を基にしたクニツィアのバリアントで、レイズ(賭け金つり上げ)の要素があります。レイズがあると、他の全員は同じだけ払ってコールするか、勝負から降りるかを決めなければなりません。

チップは1人あたり20で遊びました。手番順に大きく左右されるので、それによって戦略を変えていかなければならないのは面白いですね。

結果:bluerose 83、自分 22、ナカタ 20、なるお 15、hako 15、夜の花畑 0、ひぐたか 0、木 0



オクト Octo
(プレイ時間 20分)
Octo20150726.JPGクニツィアのダイスゲームの代表作のひとつである「ヘックメック」の元になったゲームです。同じく「ヘックメック」の元と思われるゲームには「アラーライシュピーラライ」に収録の「シャッツェン」があるのですが、「オクト」どどちらが古いのかは興味があるところです。

「ヘックメック」と同様に8個のダイスを使います。虫の目にあたるものはなく、また選んだ数字の目のダイスをすべて確定する必要はありません。よってより選択肢があります。もちろん「ヘックメック」のように、振るたびに異なった数字の目を脇によけなければならず、それができなければ手番終了です。

高い合計値を出して、次の1巡で誰もそれを超えられなければ勝利です。つまり、現在の最高値以下でやめる意味はまったくなく、常にトップを狙わなければなりません。なかなかシビアです。

自分24→夜の花畑32→自分33→bluerose34→自分35と合計値が上がっていき、35を防衛して勝利しました。

結果:自分 35(勝利)、bluerose、ナカタ、夜の花畑



600 Six Hundred
(プレイ時間 55分)
SixHundred20150726.JPG「ヤッツィー」に代表されるカテゴリーゲームのクニツィア版です。特徴はカテゴリーの数が多いことで、さまざまな局面に直面することになります。なんと18カテゴリーもあるのです。それらすべてで得点したり、数字のカテゴリーで一定得点以上を取ればボーナスになったりします。

全部で3テーブルに分かれて遊びました。別のテーブルのうちひとつではなんと振り直しを3回まで行っていたそうで、かなり高得点でした。振り直し3回ではゲームが少しだれるし易し過ぎると思います。もうひとつのテーブルではナカタさんが395という高得点を叩き出しました。次回は400点を目指しましょう!

結果:自分 388、かんちょー 315、ひぐたか 296
(参考結果:ナカタ 395、bluerose 389、アキ 335、木 297)



ミスター ポストマン Mr. Postman
(説明 5分 プレイ時間 30分)
MrPostman20150726.JPG3個のダイスを1個ずつ振って完成させた3桁の数字の大小を競うゲームです。ゲームの前半では最低の結果のプレイヤーが1失点チップを受け取り、後半では最高の結果のプレイヤーが1失点チップを返却できます。前半と後半で勝負所が変わるのは「ののの脳みそくれ」やカードゲームの「ツインズ」にも使われている手法ですね。危うく後半が始まる前に無失点で終了のプレイヤーが表れるかと思いましたが、意外とゲームは続いていきました。

結果:なるお 1位、ナカタ 2位、(他:ひぐたか、bluerose、木、hako、自分)



クリス クロス Criss-Cross
(プレイ時間 各10−15分)
Criss-Cross20150726.JPGクリスクロスはダイスビンゴのクニツィア版といったゲームです。2つのダイスを振りますが、10−12は0−2として扱うので、数字は0−9になります。確率分布も少々異なってきます。縦と横の両方を高得点にするには、一方を同数字狙いにし、もう一方を連続した数字狙いにするのが基本だと思いますが、臨機応変に考えていくことが高得点の秘訣です。1戦目はナカタさんが僅差で勝利でした。

2戦目以降はバリアントです。クリスアンドクロスは縦と横を別々に合計してその小さい方が得点になります。クニツィア方式とも言える得点方法で、これは良いバリアントだと思います。クリス対クロスは2人で同じボードを共有し、1人が縦列、もう1人が横列を受け持ち、相手の邪魔をしつつ得点します。邪魔が易し過ぎるので低得点の争いになり易く、少々盛り上がりに欠けます。読んだときにはクリスクロスシリーズで一番面白いのはこれだろうと思っていましたが、遊んでみるとクリスアンドクロスが良いですね。ゲームはやはり遊んでみなければ分からないものです。

結果
1戦目(クリス クロス):ナカタ 39、なるお 37、木 36、自分 36、bluerose 35、hako 34、ひぐたか 21
2戦目(クリス アンド クロス):自分 15、木 11、ナカタ 10、なるお 10、hako 8、bluerose 8、ひぐたか 6
3戦目(クリス対クロス):木 7、自分 6
4戦目(クリス対クロス):bluerose 9、自分 9



カテゴ Catego
(プレイ時間 10分)
Catego20150726.JPG2個のダイスの出目でどの得点のカテゴリーに当てはめるかと言う、シンプルながら楽しめるゲームです。2人が同じ出目だとどちらも得点できないという厳しさで、これによって何点取れば勝てるかが分かりづらくなっているのは良いところです。次回はバリアントのパートナーシップカテゴも遊んでみたいですね。

結果:なるお 29、自分 25、hako 23
(参考結果:木 29、ナカタ 27、ひぐたか 11、bluerose 8)



パワープレイ Powerplay
(プレイ時間 15分)
Powerplay20150726.JPG1回しか振れない「キャントストップ」のようなゲームです。6種類のカテゴリーで勝利しなければならないので、結構シビアです。キャントストップのような派手さはありませんが、良いゲームだと思います。7人だったので、自分とナカタさんはペアを組みました。

結果:hako 勝利、ナカタ&自分 敗北
(参考結果:木 勝利、なるお 敗北)
(参考結果:ひぐたか 勝利、bluerose 敗北)



イースト ウエスト East-West
(プレイ時間 10分)
East-West20150726.JPG同時に3つのポーカーハンドを組み立てていくゲームです。「タイマンポーカー」の元になったようなゲームだと言えますが、これはダイスのバージョンです。ちょっと淡白なので、次回は「ダブリングダイス」のバリアントを入れて遊んでみたいと思います。

結果:ひぐたか 勝利、bluerose&自分 敗北
(参考結果:hako 勝利、なるお 敗北)
(参考結果:ナカタ 勝利、木 敗北)



ダブル オア クイット Double or Quits
(プレイ時間 30分)
DoubleOrQuits20150726.JPGタイトルは「イコールオアクイット」に似ていますが、こちらはquitが何故かquitsになっています。5個のダイスでポーカー役を振るのですが、振ったプレイヤー以外は見ることは出来ません。そして振って宣言した結果に対してブラフかどうかをチャレンジすることが出来ます。失敗のたびにポットが倍になるという恐ろしいインフレのゲームです。このチップの増え方は、トランプの「ガッツ」に似ています。チャレンジして失敗してもゲームには残れるということでチャレンジし易くなっています。

チップは1人あたり100で遊びました。賭け金が莫大になり、スリルがある良いゲームです。

結果:bluerose 205、自分 135、なるお 121、ひぐたか 93、hako 51、ナカタ 51、木 44



ネズミと男たち Mice and Men
(プレイ時間 各10分)
ダイス3個を振ってできた3桁の数字が誰よりも小さくなければ良いという賭けのゲームです。手番には「ネズミと一緒に逃げる(勝負から降りる)」「男たちに加わる(そのまま残る)」「男たちを率いる(失点値を上げる)」の3択で失点値が落ち着くまで何巡も行います。降りるときは3失点です。降りたくないけど、降りずに高い失点値を喰らうのはもっと困る、というジレンマのゲームです。降りるときにダイスを見せなければならないというルールも良いですね。

2ゲーム目はバリアントの「ドブネズミ!」を遊びました。ラウンド数がそのまま降りるときの失点になります。10ラウンド制なので、最終ラウンドは降りると10失点なのです。このバリアントではゲームが進むにつれてどんどん苦しくなるのでおすすめです。自分は勝負所を間違えて大量失点をしてしまいました。

結果(失点)
1戦目(ネズミと男たち):ひぐたか 15、hako 15、ナカタ 17、なるお 26、自分 32、bluerose 46
2戦目(ドブネズミ!):ナカタ 20、bluerose 28、ひぐたか 50、なるお 53、自分 58



ダイス ポーカー Dice Poker
(プレイ時間 各10−25分)
DicePoker20150726.JPGポーカー役を基にしたダイスを使ったポーカーです。共通のベットやレイズのルールがあり、そして4種類のゲームが紹介されています。今回はそれら4種類をすべて遊びました。すべて50点持ちでディーラーが1巡するまでの6回戦です。

1戦目のドローダイスポーカーはドローポーカーの引き直しのように振り直しがあります。

2戦目のスタッドダイスポーカーはスタッドポーカーのように2個のダイスを公開して振ります。

3戦目の共通のダイスポーカーはテキサスホールデムのように全員共通の公開されたダイスがあります。

4戦目のシックスダイスポーカーでは6個のダイスから5個のダイスでの役をつくります。共通のダイスと公開のダイスがあります。

どれも少しずつ異なり、なかなか楽しめました。トランプで遊ぶよりもダイスの方がスピーディーで良いんじゃないかという気さえしてきます。クニツィア自身が言っているように、これまでダイスを使ったポーカーをだれも行わなかったということが不思議です。それほどカードゲームからダイスゲームへの自然な継承だと思えるポーカーゲームです。

1戦目(ドロー):なるお 93、ひぐたか 68、自分 58、hako 42、bluerose 24、ナカタ 15
2戦目(スタッド):自分 65、ひぐたか 62、なるお 56、hako 53、bluerose 37、ナカタ 26
3戦目(共通):ひぐたか 57、自分 54、ナカタ 51、hako 49、なるお 48、bluerose 36
4戦目(シックス):なるお 79、bluerose 68、ひぐたか 62、ナカタ 60、自分 19、hako 17



もっと早く終わるかと思いましたが、なんだかんだでまる1日かかりました。今度は「ファミリーバーブディ」「ポーカーハント」「36」「パートナーシップカテゴ」も含めた全種類を遊びたいですね。

なお、「ダイスゲーム百科」で誤字脱字、内容の不備不明、あるいは率直な感想などあれば、是非教えてください。この記事へのコメントでも構いません。お待ちしています。

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