ウォルドーフゲーム会 2010.06.25

金曜第2週目のウォルドーフですが、都合により2週間遅れて月末になりました。一番多い時間帯で15人くらい。終わってみればクニツィア8連発という結果でした。



ダブル オア ナッシング Double or Nothing
(プレイ時間 10-15分)
DoubleOrNothing20100625.jpg人が集まるまでの待ち時間にと、運試しのダブルダブルオアナッシング。ピアトニク版はカードの滑りも良いです。よくウーバープレイからの英語版が投げ売りされていますが、もっと評価されても良いゲームだと思います。同系統のダイアモンド(インカンゴールド)やクラウドナインのほうが一般的にはポピュラーですが、このゲーム独特の2種類のバースト(個人バーストと全体のバースト)がいい確率で巡ってくるところや、どこでダブルオアナッシングを取りにいくかなど、よりドラマチックな展開が多いと思います。

結果
1ゲーム目:自分 68、ジョン 61、エリックC 53、ピート 41、カーク 39
2ゲーム目:エリック 96、カーク 96、自分 67



ラー Ra
(プレイ時間 35-40分)
Ra-Boxes.jpgクニツィアの競り3部作のひとつ。ラベンスバーガーのゲーマーズゲームブランド、アレアの最初のゲームで1999年に登場しました。その後、2005年にウーバープレイから、そして2009年にアバクス/リオグランデからと2度もリメイクが出てきます。さらにテーマをマフィアに変更し、全体を3分の2にカードゲーム化した「ラッツィア」(アミーゴ)。ラーの得点スキームをそのまま活かして戦略的ダイスゲームにした「ラーダイスゲーム」(アバクス/リオグランデ)、両面タイルを導入したラーのバリアントともいえる「ラーの司祭」(アバクス/リオグランデ)などスピンオフのバラエティも豊富です。

Ra-Tiles.jpgコンポーネントはボードと180枚のタイルと16枚の太陽チップ、それに点数記録のステーレンチップです。アレア版のラーではタイルをいれる袋は無く、タイルを納めるようになっていました(写真参照)。箱を逆さにしてもこぼれないくらいのキツキツさなので、通常は袋に入れて保管しています。ウーバープレイ版ではボードもタイルもひと廻り大きくなり、ラウンド終了時に持ち越すタイル(ファラオ、日照りナイル、モニュメント)にはX印が付いてわかりやすくなっています。太陽チップは黄色く、ラーのコマは片面印刷で色合いも異なりほっそりしています。また、タイルを入れる為の袋が付いており、ルールでもアレア版の「タイルをめくる」とは異なって「袋からタイルを引く」となっています。最新のリオグランデ/アバクス版は、ほぼアレア版と同じですが、タイルは若干厚めで、点数記録用のステーレンはやたらと小さくなっています。またこの版ではラッツィア同様の2人用ルールも含まれています。

Ra-inlet.jpgゲームは3ラウンド(エポック)行われ、プレイヤーは様々なタイルを競り落として得点を稼いでいきます。競りに使われる太陽チップは1から13まで(5人の時は16まで)の通し番号です。手番は2択。タイルをめくって場に足すか、「ラー」と宣言して競りを始めるかのどちらかです。このシンプルさ故に競りゲーム初心者に向いていると言われますが、同時に競りゲームの最高峰と呼ばれることも多く、このゲームの懐の深さを端的に表しています。

競りは一巡で以前より高い太陽チップを出してビッドするか、パスするかです。3枚(3人の時は4枚)の太陽チップはすべて公開なので、相手の太陽チップの状況をよく見ながらビッドします。一巡なのでシビアなのはメディチと同じ。「ラー」宣言をしたプレイヤーは最後にビッドするので有利ですが、誰もビッドしない時にはビッドして引き取らなければなりません。ユニークなのは、競りに勝ったプレイヤーは場にあるすべてのタイルだけでなく、前回使われた太陽チップも獲得します。これは裏向きにして自分の前に置いておき、次のラウンドに使うのです。そしてたった今、競りに使った太陽チップは次の競りの対象となるのです。つまり将来のビッド力を競っているというなかなか変わったメカニクスです。

Ra-Boards1.jpgめくったタイルがラータイルの場合はラータイル置き場に置き、「ラー」を宣言した時と同様に競りが始まります。唯一の違いは、全員がパスしても手番プレイヤーには競り落とす義務が無いことです。このラータイルにはもうひとつ重要な意味があって、ラータイルが一定枚数(8-10枚)場に出るとラウンドが直ちに終了してします。これが時計の針の役割をしていて、ラータイルが出るペースによって競り落とすペースも変わってくるのです。太陽チップは3枚(3人では4枚)あるので1ラウンドにつき1人3回(4回)までしか競り落とせませんが、うかうかしていると太陽チップを使い切る前にラウンドが終わってしまいます。

競り落とす対象となるタイルは種類も得点方法も多彩ですが、それほど難しくはありません。これを覚えてしまうくらいでないとラーを楽しむことはできないでしょう。ラウンド終了時に決算が行われ、捨てるタイルと次のラウンドに持ち越されるタイルがあります。

ファラオ(緑):相対枚数の最多は5点、最少は-2点。
ナイル(青):洪水と日照りの2種がある。洪水が1枚でもあればタイル1枚につき1点。さもなければ0点。
文明(灰色):獲得した種類数で得点。0/1/2/3/4/5種類につき、-5/0/0/5/10/15点。
神(黄):2点
金貨(茶色):3点
モニュメント(白):ゲーム終了時のみ決算。獲得した種類数と同種の枚数の両方で得点。1種1点(7/8種だと10/15点)、同種は3/4/5枚で5/10/15点。

次のラウンドに持ち越されるタイルはファラオ、日照りナイル、モニュメントの3種だけ。ラウンド毎に洪水ナイルを取らないとナイルは点にならないし、文明を1枚でもとらないとマイナス5点となってしまうのです。他にも特定のタイルを2枚捨てなければならない廃墟タイルもあり、なかなか悩ましくできています。神タイルはそのままだと2点ですが、手番に3番目の選択肢を与えてくれます。通常の、タイルをめくるか「ラー」を宣言する代わりに、既に得た神タイルを捨てて、捨てた枚数と同じ枚数の好きなタイルを場から獲得することができるのです。

Ra-playing20100625.jpg一時期、かなり頻繁に遊んだゲームです。ノンゲーマーと遊ぶことが多いゲームなので、ここでのレポートは少ないのですが、3大競りゲーム(モダンアート、メディチ、ラー)のなかではおそらく一番多く遊んでいると思います。ラーは最初の時の印象が悪かったために、長いこと所有していませんでした。2度目にプレイしたのはクニツィア自身とで、そこで面白さを感じてアレア版の購入を決断。ルールの美しさではモダンアートやメディチに一歩劣りますが、クニツィアが複雑な得点体系を使い始めたという転換期のゲームで、競りゲームをセットコレクションで優しく包んでいるような印象があります。

Ra-tile-pile.jpg色々なプレイヤーとラーを遊ぶときに、タイルを引く為の袋を使うか使わないか、あるいはプレイエイドを兼ねたプレイマットを使うか使わないか、で意見が分かれることが多いです。自分は両方とも使わない主義で、タイルはA4のフェルトマットの上にばらまくか積み重ねて幾つかの山にしておきます。準備に少しだけ時間がかかるのですが、一度ゲームが始まると、殆どの手番がめくるだけであるラーなのでテンポ良く進みます。また、プレイマットはタイルを重ねて置くようになっているので、一目で他人のタイルの状況がわかりずらく、どうも好きになれません。ただ、国内外問わず袋を使うプレイヤーはかなり多いようなので mixi (クニツィアコミュニティ)や boardgamegeek (ラーのフォーラム)でアンケートをとってみました。以下は現時点での集計結果。

タイルを引く袋を使いますか?
ミクシィ(回答数33)
使う 72% 使わない 12% 

ギーク(回答数134)
使う 85.1% 使わない 12.7%

プレイマットを使いますか?
ギーク(回答数134)
使う 35.8% 使わない 54.5%

こうして見ると、袋を使ってプレイマットは使わないのが多数派のようです。みなさんのプレイスタイルはどうでしょうか?(よろしければ是非アンケートに参加して下さい)

Ra-monument-collection.jpgこの日は久し振りに元祖アレア版を持ち込んで遊びました。カークは初めてでしたが飲み込みが非常によく、感覚をつかんだ2ゲーム目では1位。自分は最後まで粘ると、ラータイルを引いてラウンドが終わってしまうという展開で、苦しかったです。意地で集めたモニュメントでなんとかビリにはなりませんでした。いままでは3人がベストと思っていましたが、4人もかなり面白いですね。ラーと全く同じ内容とグラフィックで良いので、携帯制の高いラーカードを出して欲しいです。需要はあると思うのですが、ラッツィアがあるから難しいかな。

結果
1ゲーム目:ルーク 47、自分 41、エリックC 22、カーク 14
2ゲーム目:カーク 43、エリックC 33、自分 33、ルーク 7



頭脳絶好調 Einfach Genial
(プレイ時間 35分)
EinfachGenialPartnership1.jpg2人から4人まで何人でも楽しめるゲームですが、今回は念願のパートナーシップゲームを遊びました。向かい合った2人ずつがペアとなって最大36点を目指します。通常のルールと異なるのは以下の点です。

EinfachGenialWhiteBoxTiles.jpgパートナーシップのルール
点数ボードを2枚横に繋げて並べるが、点数記録コマは各色1つずつしか使わない。
同じチームの得た点数はこのボードで合算して数える。
点数記録コマが1枚目のボードの最高値(18)に達したら超過分は切り捨てて「天才」宣言となる。すぐに、その点数記録コマを2枚目のボードの0に移動する。2枚目のボードの最高値(18、通算36)に達したら再び「天才」宣言となる。
ゲーム前にチームメイトと作戦を話し合うことができるが、ゲーム中は話し合えない。

EinfachGenialWhiteBox.jpg今回使ったのは、エッセン2009で手に入れた廉価版です。箱は同じ大きさですが白い色で、また六角形を2つ繋いだ駒はすべてプラスチックでなく厚紙でできています。パートナーシップは予想以上に面白かったです。パートナーと呼吸を合わせて大量点を得た時は嬉しいですね。これは何度か遊んでみたいです。

結果
ルーク&自分 29-32-33-36-36-36
カーク&エリック 23-27-36-36-36-36



ゼロ Zero
(プレイ時間 3ディール20分)
ZeroBK.jpgボードゲームキングダム版。コンパクトにケースに収まるので持ち運びには便利です。3人プレイだと使うカードが少ないので、集めている数字や色が本当に5枚あるのかさえ疑わしいです。そのあたりの見切りを付けるのが難しく、3ディールで大差を付けられて負けてしまいました(このゲームでは点数が少ない方が勝ちです)。

結果:ルーク 10、カーク 17、自分 36



ミオ Mio
(プレイ時間 各10分)
Mio.jpgピアトニクから2004年に出た殆ど無名のカードゲーム。簡単に言うとクニツィアが作ったウノです。5スート、1から5までと星カード、それにワイルドが3枚あります。手番ではウノ同様にスートか数値が合っている数を出すだけ。無い場合にはなんと山札から出せるカードが出るまで引かなければなりません。さらに星のカードが出た場合は星カードしか手札からは出せず、無い場合には山札から星か同色のカードが出るまで引き続けます。ワイルドはスート指定。1枚になったら「ミオ」と宣言し、上がったプレイヤーは0点。手札がそのままマイナスになります(星とワイルドは10点)。またカードの総数が少ないので山札が尽きてしまうこともあります。その場合は全員がパスするまで続けます。これを何ディールか繰り返し誰かが100点以上になったら終了です。

カードがそれほど多くないので収束は早いのですが、いかんせん運の要素だけのゲームです。山札から出るまで引き続けるというのが昔の和製トランプによくありがちなルールで懐かしいのですがゲームとしてはどうなのでしょうか。

息抜きにと出したのですが、1ゲーム目は完全勝利の0点。じゃあもう一度やろうということになり2ゲーム目は100点越えの完敗でした

結果
1ゲーム目:自分 0、ルーク 65、カーク 109
2ゲーム目:ルーク 16、カーク 20、自分 123



モダンアート Modern Art
(プレイ時間 60分)
ModernArtPegasusBox.jpgここで5人のテーブルに加わったので何をやろうかということになり持参したペガサス2009年版のモダンアートを出してみました。ペガサス版はアートも一新。アーティスト名もデザインもすべて変わっています。コインはハンスイムグリュック版と同様の価値によって大きさが異なる紙製で一番優れている形態だと思います。スクリーン(ついたて)は美術館の都市名ではなく、アートが描かれています。なお新旧の画家名は次の通り。

新版 == 旧版
ネックス == ライトメタル 
バフート == ヨーコ
ダモイア == クリスティンP
サッドランド == カールジター
コリコ == クリプト

ModernArtPegasus.jpgどうしても旧版に思い入れがあるプレイヤーが多いので「ライトメタルはどうした」とかいう声が上がります。特にハリーはカールジターが好きだったようでカールがいないことを残念がっていました。

1ラウンド目から5種類すべての画家が出まわるという混戦状態。ここで必死になって自分が買った画家をサポートするのか、あるいは諦めて他人が高く買いそうな画家を出して儲けるのか、難しいところです。2ラウンド目以降で上位3位に入ると思ったら取っておく方が得策です。そんな思惑が入り乱れて5種類出てしまったのでしょう。

ModernArtPegasusBoard.jpg1ラウンド目で首位、30の値札が付いていたサッドランド(カールジターにあたる画家)が3ラウンド目に再びブレイクしてドラマチックな展開となりました。まず、右隣のピートがサッドランドの公開オークションを行います。サッドランドは手札に一番多く持っている画家だし次の手番は自分なので、もちろん競り落としにいきます。ここで何故か自分の左隣のジョサイアと自分だけしか興味を持たず、2人で競り上げて最終的には46で自分が競り落としました。30上乗せなので妥当なところでしょう。

ModernArtPegasusCoins.jpg自分の手番、すぐに2枚目のサッドランドをやはり公開オークションで出しますが、なんと殆ど誰ものってきません。ジョサイアしか興味を示さず、2枚目なのに1枚目よりも安い35でジョサイアが購入。これはオークションは2人以上が欲しがらないと成り立たないという端的な例です。続けてジョサイアがサッドランドのダブルクローズドオークション。これでサッドランドは一気に場に4枚となります。ビッドは自分が93、ピートが92、ハリーが91という僅差で自分のものに。でも総合的に考えて、これはどう考えてもジョサイアが数段得しています。このあたりでおそらく差を付けられたのだと思いますが、最終的には3位でした。ジョサイアはハリーの子供でまだ10代なのに凄くゲームに強いです。おそろしい。

結果:ジョサイア 450、ピート 409、自分 381、マイカ 327、ハリー 283



モダンアート カードゲーム Modern Art: The Card Game
(プレイ時間 20分)
モダンアートをプレイ中に「これのカードゲーム版は遊んだことがあるの?」と聞いてみるとハリーもピートもまだだとのこと。競りの無いモダンアートで短時間だし、なかなかの傑作だよと言っても、そんな亜流なんて、と信じてもらえません。「競りが無い?モダンアートから競りを取ったら何が残るんだ?」と至極もっともな反応。戦略的トレンディだよというとハリーは興味を持った様子です。ハリーがあまり時間がなかったこともあって結局モダンアートカードゲームを遊ぶことにしました。

カードの巡りが悪く、終盤になっても大量得点を叩きだせずに惨敗。でもピートもハリーも「これはなかなか」と気に入ってくれたようです。競りが無いのも大きな違いですが、それよりも大きな違いがあります。モダンアートでは手札がほぼすべて相手のカードになるのに対し、モダンアートカードゲームでは自分のカードになります。これは考え方によっては大きな違いで、ダイナミズムも違うということを両方続けてプレイすることで改めて感じました。

結果:ピート 71、ジョサイア 70、ハリー 69、自分 68、マイカ 58



ケルトカード Keltis: Das Kartenspiel
(プレイ時間 各20-25分)
KeltisCards20100625.jpg最後にピートと2人でケルトカードです。もともと4人まで遊べるのですが、2人でもなかなか楽しく遊べます。ロストシティとはまた違った面白さで、純粋に2人用ゲームとして比べると願いの石、ワイルドカード、エンドカード、カードプレイの制限(降順と昇順)、カード枚数による得点などプレイ感覚は結構異なります。2人だと101枚は多いのでランダムに30枚除いて71枚で遊ぶことになっていますが、ひとつだけ不満なのはこのランダムな要素です。デザイナーに敬意を払う意味もあって、むやみにバリアントを作るのは好きではないのですが、数ヶ月前に2人用のバリアントを考案しました。

2人ルールバリアント(固定71枚デッキバリアント)
取り除く30枚のカードは各色の3-7とエンドカードを1枚ずつとする(つまり最初から2枚ずつ入っているカードを1枚ずつにする)。ゲーム終了条件は山札が尽きたときかエンドカードが3枚出たときとする。

このルールで何度か遊びましたが、デッキに入っているカードがわかっているのでより戦略的になります。また終了条件の1つをエンドカード5列から3列(つまり3枚)に変えたのは、エンドカードを始めから5枚しか使わないことによるものです。もしかしたら3枚でなく4枚のほうが良いかもしれません(調整中)。

隣のテーブルが終わるまでに続けて3回も遊んでしまいました。7枚、9枚にすると得点が大きいのですが、なかなか大変。各スートは数字とエンドカードで12枚。そのなかから7枚くらいとワイルドを2枚くらいという比率でどうにか9枚に持っていきます。1ゲーム目は2人ともカード運がよくさくさくすすみましたが、2、3ゲーム目はロストシティ的なジレンマが満載です。石は取るタイミングを間違えると相手に良いカードを渡してしまうことになります。でも早い者勝ちなのでやっぱり石は取りたいというジレンマ。悩ましいですね。

結果
1ゲーム目;自分 31、ピート 23
2ゲーム目:ピート 26、自分 26
3ゲーム目:自分 28、ピート 21

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